うつくしいもの

「でも、優雅は大学に進学しなくて良かったの?

私は進学する気なかったから」



「うん。
一応、志望の大学受かったんだけど、
迷って進まなかった。


寺岡さんには、大学を通いながらでもいいから、って言われてたけど、
きっとそんなに甘くないかな?って。
音楽、本気でやってみようって」



「涼雅に負けたくないから?」


そう思わず口にして、
失言だと思い、

ごめん、と謝った




「べつに、今の時点でも負けてなくないでしょ?」


そう笑い飛ばされて、
気にしてないようだけど、

一瞬、敵意のようなものがその表情に浮かんでいた



それは、目の前の私ではなく、
涼雅に対してみたいだけど





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