うつくしいもの

「でも、近くに居るうちに、
俺、菜々花の事が好きになって。

だから、兄貴より自分に向かせたいだけ、とかそんなつまらない事で、付き合ってとか言ってないから！

好きだから」


その言葉が凄く嬉しく感じて、

私もこの人に惹かれているんだって、気付く



気付くと同時に、

その優雅の気持ちに応えられない事にも気付いてしまう




「なら、余計に無理だよ。

私、涼雅に１回遊ばれて、捨てられたの……。

あの人、よくファンに手を出してたでしょ？

優雅も、兄貴が捨てた女と付き合うなんて、
プライドが許さないでしょ？」



だから、付き合えない、
と言うつもりなのに、

言葉が喉に引っ掛かって出て来ない




言いたくない――…




「――なに、それ……」


優雅が私に対して、
失望しているのを感じた