うつくしいもの

私はスマホを鞄にしまい込み、

あの子達に電話をしない事にした



だって、なんで連絡しないといけないの?


私だって、トイレ行きたいのを我慢して、

寒空の下ずっと待っていたのだから



結局の所は、私は涼雅を独り占めしたい



私って、悪女だなぁ





私は寒さで固くなった体を奮い立たせて、

涼雅達に駆けよった



寒さなんて、忘れてしまう




「すみませんっ!!」


思ったより大きな声が出て、

自分でも驚いてしまう




辺りが静かだから、
その声がよく響いた




近くの店は殆ど閉まっている




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