うつくしいもの

「菜々花、どうしたの?

それより、何処に行ってたの?
帰って来たらいないから、
心配して今から電話しようと思ってた」




ローテーブルの上には、
優雅のスマホが乗っている




「――私、涼雅に会ってた。
そんな誤解されるようなものじゃなくて、
彼のライブを見に行ったの」



「なに言ってんの?

兄貴がライブ?

こんな時間に?」


優雅は困惑したような声でそう話す



ソファー越しに優雅を背後から抱き締めているから、
今、彼がどんな顔をしているのかは分からない





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