うつくしいもの


「なんの電話だったの?」



話している優雅の表情から、
その電話の内容がとてもよくないものだと分かる





「兄貴が、死んだんだよ」


そう言われて、言葉が出て来なかった



それを信じられないけど、嘘だとは思えなくて




「酔っぱらって、そのままふらふらと道路に飛び出して車に……。

さっき病院に運ばれたらしいけど、
即死だったみたい」



「自殺、なの?」



不慮の事故だとは思えなかった



音楽を無くした涼雅は、いつ死んでもいいような顔をしていた


私が勝手にそう思っただけかもしれないけど



でも、彼自身も言っていた



“――もうこのままどうなってもいいや、って思ったんだよ――”









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