BEAST POLICE
聞き間違いだったのか、それとも刑事と名乗ったのは嘘だったのか。

狐に摘ままれたような気分で、警視庁を後にする環。

しかし、その正面玄関の所で。

「お嬢さん」

環は一人の男性に呼び止められる。

グレーのスリーピーススーツを着た、中年男性。

「巽 英二をお探しと伺いましたが」

「ご存知ですか?」

環の言葉に、男性は頷いた。

「巽はちょっと訳ありでね…警視庁の誰でもが知っているという訳ではないんですよ」

そう言って男性は優しげに微笑んだ。

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