BEAST POLICE
「畜生…囮捜査なんてしやがって…汚ぇ刑事だ…」

呻き声混じりに言う男に。

「……」

巽は視線を向ける。

老婆に向けていたのと、同じ眼とは思えない。

「何十年も汗水たらして働いて、あの婆ちゃんはようやく穏やかな余生を送ろうってんだ…あの金はな、婆ちゃんだけが使っていいご褒美なんだよ…てめぇみてぇな、楽して儲けようなんて考えのクズ虫が触れていい金じゃねぇんだ」

男の髪の毛を鷲摑みにし、千切れんばかりに引っ張り上げて立ち上がらせる巽。

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