BEAST POLICE
当時ロサンゼルス市警SWATで研修中だった巽も、この事件をアメリカで聞いた。

猟奇的事件を起こした切っ掛けとなったのが、脱法ドラッグの一種である『バスソルト』である。

マスコミ各社はマリファナを使用していたと報道していたが、後に識別が難しいバスソルトであるとの検査結果が出ており、殆どのメディアは誤報を訂正していない。

極めて幻覚作用が強く、死をもたらす可能性もある薬物が入浴剤として米国の多くの州で合法的に販売されており、警察当局や薬物専門家らは強い懸念を表明している。

米ルイジアナ州毒物センターによれば、11年1月までに、既に25州から248件以上のバスソルト関連の相談があったという。

このような製品は、街角の店、トラック・ストップ(フリーウェイの休憩所)およびインターネットなどで、20ドル(約1640円)程度で入手する事ができ、興奮・刺激薬であるメフェドロンなど、強い作用を持つ様々な化学物質を含有しているにもかかわらず、規制対象となっていない。

この『バスソルト』は“アイボリーウェーブ”や“バニラスカイ”といった優しい響きの名前で販売されており、一般に鼻吸引、煙吸引、静脈注射の他、水に混ぜて飲料として使用される。

その作用は、LSD、エクスタシー、PCP、コカインおよびメタンフェタミンなどの他の薬物の作用を全て合わせたような凄まじいものであるという。

『混乱した使用者が救急治療室に搬送されると、通常の鎮痛薬を高用量で使用してもコントロールできなく、このような作用が永続的なものである可能性がある事も大きな懸念である』と言われている。

また、使用者自身が極めて不快だと認めるほどの幻覚体験をするにもかかわらず、強い渇望が見られ、再使用に至る事も多い。

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