【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
私が通う中学校の校舎裏には大きな桜の木が一本そびえ立っていて、そのスケールは通学路の坂にある桜並木とは比べ物にならないほど。

歴史あるこの学校が開校する前からあったというから相当お年寄りなのだろうけど、毎年春には美しい桜を咲き誇らせ、教師達の間ではその桜の木の下で新年度の意気込みをいれるべく宴会をやるのが恒例行事だとか。

教師にしてみれば花見に打って付けのこのスポット、実は我々生徒の間ではとあるジンクスを宿していると噂されていたりする。


「ねえねえ、あの桜の木の下で告白して付き合うことになったんだってー?」

「そうなの。もう嬉しくて私泣いちゃったよ~」

「やっぱりあのジンクス本物だよね!」


校舎裏の桜の木の下で好きな人に告白をすると、その恋は必ず実る。

事実、今まで実行してきた者達は皆結ばれているのだ。その後別れるかどうかは別として。
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