【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
「あいつ言ってた。もし自分があの桜の木の下で麻倉に好きと伝えられていたら、こんなことにはならなかったのかな……って」


寺島の言葉の一部が桜夜くんの声で脳内再生される。

なんだよそれ。本当に私のこと好きだったの?だったらどうして言ってくれなかったんだよ。

逃げる勇気があったのなら、告白する勇気もあったはずでしょう?

行き場の無い想いは膨張していくばかり。

本人にぶつけることも儘ならない感情が目の奥を熱くさせる。

夜の桜のように妖艶で、しかしいずれ散りゆく儚さも知っている彼がいなくなった日、私はまたあの桜の木の下で静かに泣いた。

彼と初めて話したあの日のように。
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