seasons.(シーズンズ)【完】

夏祭りでのこと

*冬香side


夏祭り当日――つまり夏枝ちゃんの誕生日。

早めに到着するよう家を出たものの、バスの都合で少々遅刻してしまい、念のためメールを送ってから駆け足で集合場所を目指すことに。

慣れない浴衣に下駄を履いているため、思うように足が進まずますます焦っていると、


「冬香ぁー、こっちよこっちー!」


自分の名前を呼ぶ馴染みの声が。

人込みの中キョロキョロと周囲を見回して声の主を探していると、視界に入ったのは本日主役の夏枝ちゃん。

その後方には他のみんなの姿も確認できた。


「遅くなってごめんね!」

「いーってことよ。それより一週間振りくらいかしら?元気してた?」

「うん。でもちょっと夏バテ気味かも……」

「ほんと、今年暑いわよねぇ」


相も変わらずテンションの高い夏枝ちゃん。

普段から髪をアップにしているからか、紺色の生地にひまわりの花が描かれた浴衣もよく似合っている。
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