seasons.(シーズンズ)【完】



そうして缶ジュースを浴びてしまった私は、現在タオルを手に見知らぬ公園のベンチであっくんから真実を告げられようとしている。


「単刀直入に言います。僕と涼人は正真正銘の双子です」


覚悟はしていたつもりだったけど、いざ真実を受けとめるとなると驚きを隠せなかった。

これっぽっちも予想していなかったことが、本人の口から事実として告げられてしまったのだから。


「でも、全然似てないし名字も……」


言いかけてある一説が脳裏をよぎった。


「二卵性双生児……?」

「はい」


双子と言われると鏡に映したようなそっくりの容姿を連想させられるけど、それはあくまで一卵性双生児の場合。

双子には二卵性双生児というものもあって、まるで普通の兄弟かと疑いたくなるような瓜二つの姿にはならないと聞いたことがある。

あっくんとあの片桐くんに至っては顔も仕草も似ていない。

寧ろ優等生と不良で、全てにおいて真逆だと思う。

じゃあどうして苗字が違うの?

というのもここまで察することができれば愚問。
< 191 / 410 >

この作品をシェア

pagetop