seasons.(シーズンズ)【完】

一難去ってまた一難

*夏枝side 


学校祭から数日経ったある朝のこと。

いつも通りの時間に登校し、靴箱から上履きを取り出そうとしてあたしは手を止めた。

理由はあたしの上靴の中にトンボの死骸が入ってあったから。

しかもご丁寧に左右一匹ずつ。


「……なんなの」


どこの哀れなおつむの持ち主がやったのか知らないけど残念でした!

別にあたし虫苦手じゃないし、こんなことで怯んだりしないわよ。

……でも一体誰の仕業?

無難なところ悪ふざけで山崎凛?

それとも今更仕返しで不良軍団?

大穴で実はハルとかだったら急所蹴り飛ばしてやるわ。

心当たりが多いのがちょっと困りものね。

何にせよ罪の無いトンボが可哀想……。

あたしは昇降口を出て、花壇の端に二匹のトンボを埋めてあげた。


「ごめんね」


犯人を見つけたらこの子達の分も仕返ししてやらなきゃ。
< 285 / 410 >

この作品をシェア

pagetop