ステップ!
「へっ…?」
はるか はアキラ君が言った言葉にキョトンとした表情をしている。
「まだ勝負は終わりではないと言っているのだ!!テストは今回だけではないぞ!」
「いや…でも お前…今回の一度だけって言ってたじゃねーか……?」
はるか がとぼけた表情で言うとアキラ君は急に顔を真っ赤にして俯いた。だが目線は はるか から逸らさない。
「も……もう一度…チャンスをやると言っているのだ…!嫌だとは言わせない…ぞ…!」
そう言ってアキラ君はAクラスの教室に戻っていった。
はるか はボーっと立ち尽くしていたと思うと、急にその場に「あーーっ」と言う何とも言えない声を発してしゃがみこんだ。
「何…あいつ……ムカつく し すげぇ悔しい…!…なのに…すげぇムカつくのに…」
後の言葉を はるか は口にしなかった。
だが私を不安にさせるには充分だった。
アキラ君の後ろ姿を見つめる はるか は頬が赤く染まっていたのだから。
私が見たことのない表情。
見せたことのない表情…。
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