【短編】よわ虫kiss


「大和はさぁ、なんでそんなによわ虫なんだろうね」


翌日は雨で、練習の出来ない野球部は仕方がなく南校舎の一角で筋トレをしてた。


本当はトレーニングルームもあるんだけど、今日はサッカー部が独占していてじゃんけんに負けた野球部の入り込む余地はなかったから。


廊下で2人一組での腹筋。


大和の足の上に座りながらそう言うと、大和が少し苦笑いを返してきた。


「アヤが思ってるほどよわ虫じゃないし」


「またまた~。

よわ虫じゃん。あたしの子守唄がないと眠れないくせに」


「あぁ、あの音痴な子守唄…

あれは眠りにつくって言うより、気を失うんだよな。

まぁ、眠れない日は効果覿面か」


腹筋をしながら憎まれ口を叩く大和に、あたしは言い返すのを止めた。


だって…

だってさ、こんなやり取りも後から思い出すと楽しい思い出になっちゃうんだもん。


思い出して、笑って…その後きっと寂しくなるんだもん。


大人しく大和の足に乗っていると、大和が100回目の腹筋を終えて廊下に寝転がった。


その様子を見て、あたしも大和の足の上からどく。

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