あなたに呪いをかけましょう
呪いをかけました。
「好きです!つきあってください!」

放課後、校舎裏。
そして二人の生徒。
風にたなびくセーラー服。

それだけの単語で告白されるだろうと言う予測はつく。

一年生の入学した頃から好きでした!

という言葉が出てこずに、青年は唇をかみしめた。
季節は秋の入り口で、やや肌寒いという気候なのに、青年は熱さを感じる。
特に顔に熱が集中しており、心臓はバクバクと馬が駆けるように早い。
なのに、なのに方や少女はというと、驚いた顔をして拳を握る。
黙っていれば神秘的。
それが青年、羽柴秋が少女に持つ印象だった。

恥ずかしくて顔を見れず、片目で伺うと、少女こと山科春子は嬉しそうな笑み、とはほど遠い笑みを浮かべていた。
そう、その笑みは…

「あの、山科さん・・・」

さすがにおかしいと思い声をかけるが、春子はおかまないなしに呟く。

「・・・効いた」
「え?」
「効いたのね、やったわ!」
「な、何が効いたの?」

状況が全く飲み込めず、いつの間にか告白という緊張もほぐれつつある。

嬉しそうに笑い、うっとりした瞳で秋を見つめる。
秋にとっては好きな相手。
キュンってなるのも無理はない。
もしかして、告白が大成功!になったのかと思いきや、
「私、クラスのみんなに呪いをかけたの。」
一瞬、聞き間違えたかと。
「….呪い?」
話がまったく飲み込めない。
「そう。私のことを好きになってくれますようにって。今のクラスは私を遠巻きに見ているだけ。私だってお友達、ほしいわ。」

羽柴秋。
決して忘れていたわけではないが、彼女の生活の大部分を占めている趣味は、魔法やら呪いやら、現代では起こり得ないことを起こそうとすることであった。
それゆえクラスメイトから遠巻きにされていると。

この恋は、前途多難?
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