アイツ限定
村上は、平然としている。
「…なんでだ。」
「まず、練習メニューから変えていく必要があると思います。個々の体力向上をまずは1番に考えるべきです。そして、単純なパス回しになっているので、相手に必ず見透かされます。
あたしに指揮をとらせてください。あと2週間弱であたしはこのチームを変えて見せます。」
言い切った。
あたしは言い切った。
でも、嘘を言うつもりはない。
根拠はないけれど、あたしは強くしたいと思った。
このチームは伸びしろがあるって思った。
「…わかった。任せよう。あと、この名簿は部員全員の名簿だ。参考に使え。」
そういって、部長は1冊のファイルをあたしに渡してくる。
「はい。ありがとうございます。」
あたしは軽く礼をして、村上とともに体育館を出た。
そして、少し暗くなった夜道をあたしたちはゆっくりめに歩いた。
「お前…言うときは言うんだな。」
そういって、村上は面白そうに笑っていた。