センセイの好きなもの
「好きかどうかは分かりませんけど、一緒にいてくれることが嬉しいです」


紗絵さんはにこやかに頷いていた。


「それが好きっていうことよ。巧だってあなたのこと大事にしてると思うわ。付き合っちゃえばいいじゃない。巧、お金持ってるわよ~。面倒臭いところもあるけどね」


アハハハと紗絵さんは笑う。
確かに巧先生はそういうところもある。お金持ちかどうかは分からないけど。


「あの、紗絵さんは巧先生のことは?」


紗絵さんは手をブンブン振りながら、ないないない!と連呼する。お互いにまだ好きなのかと思ってたけど…。


「今付き合ってる人いるし。巧には幸せになってほしいと思ってるわ。それに巧はツムちゃんのこと心配してるみたいよ?抱えてることがあるなら話してくれるならいいのにって、こぼしてたわ」


「巧先生が…」


正直に話すべき時がきたんだ。いつまでも逃げているわけにいかないし、私も幸せに生きたい。


「未来のダーリンに心配かけちゃダメよ!よし、とことん飲もう!ツムちゃんとは気が合うと思うわ」


「今夜は紗絵さんにお付き合いします」


せっかくだから今夜は楽しみたい。
そしてこれからも―――。
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