センセイの好きなもの
「本当は写真でもあれば顔を知っておきたいんだけど。あっちがいつどこでツムを見つけるか分からないだろう。もしかしたら今のツムのことを調べて、俺たちに接触してくることもあるかも知れない」


「そうですね…」


今まで母がどうやって私の行方をつかんできたのか知らない。聞いてみたことはあるけれど、どうだっていいことだとはぐらかされ続けてきた。



「それと、俺がお前の事情を知ってることを親父に話そうと思ってる。情報を揃えておかないと対応出来ないし」



大先生はもしものときは自分が対応するから心配しなくていいと、最初に会ったときに言ってくれた。
普通の20代の女の子らしく生きたらいいと。

もし母が今の私のことを知っているとしたら…巧先生に接触してきて迷惑をかけるようなことがあったら…。


「暗い顔すんな。俺を信じろ。親父だって俺だってダテに弁護士してるわけじゃない。それよりメシ食え。食ったら内職手伝うから」


「それは一人でやるんで」


「冷たっ!」


忘れてた。私はもう一人じゃないんだ。
怖がるのはもうやめよう。
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