センセイの好きなもの
さっきの人だ…。


背が高くて手足も長くてスタイルがいい。
座っていてこれだけ見上げるんだから、横に並んだら顔を見る度に首が痛くなりそうだ。

その人は大先生の隣、つまり私の正面に座った。



「つむちゃん。コレは僕の愚息ね」


「親父、愚息って何だよ。丸山巧です」


低い声は少し太くて、ちょっと色っぽい。
思わずドキッとしてしまう。


「三上紡実です。よろしくお願いします」

「三上…つむみ?」


私の名前を繰り返したあと、巧先生は口を開けたまま固まってしまう。
つむみって珍しいのかな?そういえば学生時代も私以外にこの名前はなかったな…。


「コレ、一応履歴書な」

大先生が私の履歴書を出すと巧先生は奪うように取って、氏名の上にペンを走らせる。

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