センセイの好きなもの
「アハハハハ!だって巧先生、そんな理由で嘘ついたなんて、玉井先生のことすごく好きだったんだなって思って。大先生の言う通り男の人も大変ですね」


ツムは笑いが止まらずに涙まで出ている。
親父、絶対余計なこと言ったんだろうな。あのとき妙に静かだったし。


「親父が何言ったか知らないけど、全部昔のことだからな」


はいはい、と言いながらツムはようやく笑いが止まる。

結婚に向かない、か…。
あながち間違ってないかも知れない。
あれから3年も経ったのに、仕事ばっかりで彼女もいないんだから。

作らないわけじゃない。出会いがないんだよなぁ。


「ツムはいないのかよ?好きな男は」


「いませんよ。いたらいくら巧先生でも家には入れません」


「それもそうか」


ツムには男がいないのか。
そうかそうか。
< 82 / 234 >

この作品をシェア

pagetop