極道一家のマヤ
「ちょっと、もしかして……死んだの?」
「だから言ったじゃん、やり過ぎだって!!私はもうやめようって言ったのに!!」
「共犯のくせに今更なに言ってんの!?」
こんな状況なのに…そんなくだらないことを言い争い始める周りの女たち。
だけど今はそんなことに怒りを覚えている場合じゃない。
高ぶる感情と憎しみで、冷静な判断力をすっかり失っていた。
バカだ、私は本当にバカだ。
早く桜を保健室に連れて行かないと…!
だけど、女の私じゃあ桜の細い体ひとつとは言え、そこまで運び込むのは不可能。
こんなことで人間は死ぬはずないのに、「死んだ」と騒ぎ立てているバカな女たちはあてにならなそうだし…
誰か…先生を呼んでくるしかない。
そう思い、すぐに屋上から駆け出そうとしたときだった。
―バタン!!
屋上のドアが、勢いよく開けられたのは。