極道一家のマヤ



私が実はケンカできること、この人たちは知らないんだよね……


上手く説明しようにも、なんとなく自分が言葉を挟めるような状況じゃない。


その間にも別の男が口を開いた。


「透哉さん……川崎組との抗争に邪魔だとマヤさんを家から追い出したのはあんたたち親子のはずだ。それなのに……今更虫が良すぎないですか?」


透哉は、律子が私を家から追い出したのは、川崎組との抗争に自分を巻き込ませないためだと言っていた。


つまりは自分の身のため……


100%、透哉の言っていたことが真実とは決して限らないけど……


その隠された真実を知ったからこそ、私は社家を守るためにここへ戻ってきた。





「わかってる。だが、それでもマヤは、こうしてオレと来てくれた。今の社家を守るためには……こいつの力が必要なんだよ」


後ろから、肩にそっと触れる透哉の手。


「でも、はっきり言ってあの川崎組に対抗するような力、マヤさんには……」


「お前らは知らないんだな。オレは小さい頃に一度……こいつに組み手で一度負けている」


瞬間……その場の男たちの顔に驚きが走ったのは言うまでもない。


「透哉さんが負けた……!?」


「マヤさんに!?」






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