【短編】あなたの腕
「ありがとう…」


あなたの顔を最後に見たかった。


緩んだあなたの腕をゆっくりほどく時

真正面からあなたを見つめた。


苦しさと恥ずかしさでいっぱいで。


きっと抱きしめられていた時間より短い時間でしかあなたを見れなかった。


「ごめんね…」


最後に「頑張って」も言えず立ち去ろうとした時、


抱きしめてくれたあなたの腕が

素早く伸びて

私の腕を掴んだ。
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