恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛の出社最終日、寛が明日出国するという日、
私は会社の前で寛の帰社を待ち伏せした。


定時から30分。
寛が正面玄関から出てくる。



「ちょっといい?」


声をかけると、寛は痛そうに眉をしかめた。


「何か用?」


「少し時間くれる?」


寛は断らない。
それがわかるくらい、かつて私は寛と近しい距離にいた。


「いいよ」



私たちは会社からブラブラと歩き出した。
今日で出社終わりの寛は、鞄ひとつと身軽な格好だ。


「荷物、他にないの?」


「私物なんて鞄一個で足りるよ」


「そう」
< 153 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop