恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
『大丈夫っしょ?上杉さん、女子唯一の総合職だし、入社試験成績トップでしょ?俺も2番手くらいには入ってるはずだし。
他のみんなは、第二営業部のアパレル系志望みたいだよ。第一営業部は倍率低いじゃん』


『わかんないよ。地方の営業所かもしんないし』


『ま、そしたらしゃーないけどさ。希望してるうちはいつでもチャンスはあるんじゃない?そのうちでも一緒に働けるといいな!』


毒気を抜かれた。
そんな感じだった。

それまでの私は、彼氏はいたけれど、男友達というものには縁が無かった。
男女の友情なんてない。
表面的にはどうか知らないが、本質的にはわかりあえないだろうと思っていた。

でも、伊川寛の妙な明るさは、多少なりとも緊張していた新人の私に眩しく見えた。


『伊川くん……だっけ?きみ、明るいね』


『寛でいいよ。俺は明るいのしか取り柄ないかんね。上杉さんは渋いよね』


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