恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛がドアに寄ってくる。
安田が申し訳なさそうな表情をしている。


「寛ちゃん、ごめんなさい。まだ残業かなって気になっちゃって」


「今日は一緒に帰れないって言っただろ?」


「うん、知ってる……」


気を利かせたつもりが、失敗だったみたいだ。
仕方ないので私はオフィスに引き返し、ファイルを保存するとパソコンをシャットダウンした。


「お腹空いたから、私もう帰るかんね。あんたらも帰んな」


「おい、琴。今日のまとめ!」


「明日の朝来てやろうよ。……安田、朝ちゃんと寛を送り出してよ」


私がびしっと指差すと安田が赤い顔になった。


「上杉先輩、私たち、まだ一緒に住んでないので!」


「はいはーい、じゃねー!」


私はバッグを担いで、エレベーターホールに向かって歩き出す。

二人は仲良く帰るかな?
せっかく気を利かせ直したんだから、ハッピーにやってほしい。
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