恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「ふーん」


幾郎が私の話を遮って相槌を打った。それは、話に納得した風には響いていない。


「おい、これ会計」


幾郎はウェイターに5千円札を投げると、私の腕をつかみ、ずんずんと店を出ていく。
引っ張られながら歩く私。
バルから離れ、シャッターの閉まった細い通りに私を連れ込むと、幾郎はようやく振り向く。


「あーいう人の多いところで俺に恥かかせようとしたな?」


「そんなつもりないよ!誰もうちらの話なんか聞いてないし」


「っつうかさ、おまえの言う親友って男だろ?顔見りゃわかるけどさ。俺と別れたら、そっちと付き合うんだろ?」


「バカ言わないで!」


「いや、絶対そうだろ?既婚者になったその親友サマとも不倫するんだろ?おまえはそーいう安い女だよ。そう思ったからつき合ってやってたのに!」


沸々と怒りがわいてくる。
なんだ、この男。
ようやく本音?

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