恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
盗み聞きをするつもりは無かった。

しかし、その声はたぶん安田未衣奈のもので、恐らく会社に誰もいないとふんで、誰かと口論をしている。

相手なんて、決まったようなものだ。


「こっちが言いたいよ。なんでだ、未衣奈」


やはり。
口論の相手は寛だ。

通り過ぎることができなくなった私は、悪いと思いながら、ドアに近付いた。
聞き耳なんかたてなくても、室内の音声はよく聴こえた。


「だって、ああでも言わないと寛ちゃんは婚約破棄するつもりだったでしょう!?」


「婚約破棄が嫌だったから嘘ついたのかよ。妊娠したって」



妊娠が
嘘?


安田の嘘?


安田は妊娠してないってこと?
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