恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛の言葉がやはり嬉しかった。

寛、私だって同じ気持ちでいる。

そう言いたい。



「常識的にはそうはいかないでしょ。お互い、大人になろうよ」


私は本音を飲み込んで答えた。



「……具体的には?」


「二人で飲みに行かない。二人で出かけない。残業も二人きりになるのは極力避ける」


「バカみてぇ……」


寛が吐き捨てるように言った。
彼からしたら、私とようやく元の居心地の良い関係に戻れると思ったのに、とんだ提案だろう。

だから、私はお互いのウィークポイントを持ち出す。


「もうひとつ。……絶対に触れ合わない」


寛がぴくりと動きを止めた。

< 80 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop