恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
嘘だ。
安田の代わりに抱いたくせに。

発作的に迸りそうな言葉を飲み下す。



「あの晩だって、おまえだから……おまえとしたかったから……」


「やめて!!」


私は大声で遮り、寛の脇を無理矢理通り抜けた。


走ってオフィスに戻る。

誰にも聞かれていませんように。
私と寛が噂になったら、余計寛の立場が微妙になる。

そして、私と寛の関係もまた変わってしまう。


わざわざ社内で私に絡んできた寛に腹が立つ。
私の「距離を置く」提案を飲んでくれないのも腹が立つ。

どうしてわかってくれないのだろう。
前までは、私の考えることなんてすぐに理解し、容認してくれた寛なのに。

やっぱり、私たちの友情はすでに変質してしまったのだ。

なんてことだろう。
なんてことだろう。





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