あなたを愛する者

ピキッと眉間にシワが寄った。




なによーッ!

私が補習ってバラしてんじゃん!


井関やっぱ、ムカつく~!






私が英語出来ないことは、みんな知ってることだけどさ。


まだ笑い声が教室に響いている。






クラスでもどこでも、井関が私のことを『杏』と名前で呼んでも、以前のように騒がれなくなった。




それはあの時話してくれた、”私と同じ苗字の『篠田』という友人に、車を破壊された事件”のお陰だった。





その話をみんなは笑い話として受け取り、井関が私を名前で呼ぶことを、不思議と思わなくなったのだ。





それまでは井関ファンたちに、まるで私が井関から特別扱いされていると勘違いされて、マークされてたし……。


嫌な思いもした。



もう本当に迷惑!って、思ってた。





今じゃそんなことも、無くなったけどね。






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