オトナになるまで待たないで
どうでもいいわ。

「また来よ。何時になるか分からないんだから、お金もったいない」

「私が出すのにぃ」
「出さなくていい」



性懲りもなく、田野畑が言う。

「だから、タダで入ったらいいんだって!お友達かわいそうだよ」

「勤務日以外は、タダで入ったら駄目って言われてるじゃないですか」

「そういうのは賢さとは言わない」

馬鹿かコイツ。

そういう問題じゃないだろうが。



内線が鳴りだした。

青木さんがさっと動き出したのに、田野畑は短い脚でポーズを決めたまま、動こうとしない。



「帰ろ!」

「ええ~・・・?」


ドアに向かったその時、喫煙席のブースから、常連客の佐々木さんが出てきた。


「あ…やっぱり怪我してる」



私はバツが悪い気持ちで頭を下げた。


「折れた?」

「折れましたよ」
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