オトナになるまで待たないで
「かわいそうな松井さん!ウチも働こかな」

「また学生増やして、どーすんの」



あーあ。

本当に店長に会いたくない。



店長に会った時のゴウを見ていたくない。

店長と会った後の話に付き合いたくない。



駅に向かうバスに、乗り込みながら、言い訳を考える。

心なしか、気持ち悪くなってきた。



「今日…どうしても行かなくちゃ駄目?」



ゴウが驚く。

「具合悪いん?」


私はうなずく。


「え…ちょっと大丈夫なん?バス降りる?」


私は首を横に振る。


「頭がグラグラする」

「ええ!?降りようや!」

「こんな所で降りても……」



周囲には、葬儀場と墓しかない。



病院→葬儀場→墓。


ある意味、充実しているな。



そんなことを考えながら、目をつぶり時が過ぎるのを待つ。


「うん。ほな今日は、帰ろうな?」


よっしゃ。

私は弱々しく、謝ってみせた。
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