オトナになるまで待たないで
「タバコ!タバコ吸える席!」


70代くらいのジーサンが怒鳴りながら、店に入ってきた。


私はカウンターで例の女子軍団の相手をしていたが、
ジーサンはそれを押しのけてカウンターに立つと、
バス会社のシルバーパスを投げてよこした。


「早くしろ!タバコの席だよ!」

「申込み用紙に記入して下さい」

私は慌てて紙を差し出した。


「そんなもん、客に書かせんじゃねぇよ!馬鹿!」

「か…書いてもらわないと、会員証が作れません」

「俺が今、免許証だしたろーが!お前が書け!客だぞこっちは!」



店内のお客さんが、何事かとブースから顔を出し始める。

女子軍団の一人が、嫌悪感を向き出しにして見ている。


ジーサンはその表情を捉えると、

「なんだあ!このガキ!」

その女子に掴みかかろうとした。

女子が悲鳴を上げながら逃げ出した。


「やめて!」

カウンターを飛び出す。


ジーサンの首にしがみつく。

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