オトナになるまで待たないで
トイレ掃除を終わらせた優美ちゃんが、
手を拭きながら出てくる。



「誕生日って教えてよぉ」

「いや、なんか、それは…とにかく…」

カウンターから、

「谷口さん!」と呼ぶ声が聞こえた。


「呼んでるよ」

「夏海ちゃん、どうするの?」

「私、とりあえず帰るわ」

「辞めないでね」

辞められないよ…と言おうとした時、

また「谷口さん!」と呼ぶ声が聞こえた。


「じゃ…じゃあ」

「うん、早く行って」


帰るしか、ないか…

非常階段へ戻った。


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