涙色の空をキミに。
「なるほど、夢空は北小出身なんだ」
「琉空は?家近いけど小学校違うよね?」
「ちょうど学区の境目だからギリギリ俺は西小。」
「ふうん。」
琉空くらい綺麗な容姿をしていたら噂になるだろうから同じ小学校ではないと思っていたけど、やっぱり。
って、同じ学年でも私、琉空のことついこの前まで知らなかったっけ。
「あ、見て夢空、一番星。」
そんな会話をしながら私の家までの道をお互いゆっくり歩いていると、突然琉空が空を見上げて指差す。
「…どこ?見えないけど。」
「ほら、あそこ。」
目を細めて琉空の指の先を辿ると、確かに人口の光の中、負けないように輝く星が1つだけあった。
…周りの星は街が明るいせいで全然見えないけれど、その星だけは頑張って光を伝えている。
最近夜空なんて見ていなかったから、久々に見たな…。
「俺ね、夜の空って何か好きなんだ。」
「…なんで?」
「辺り一面暗いけど、大切なものだけは、あんな風に照らしてくれるから。」
一番星を見てる琉空に視線を送ると、一瞬息が止まるくらい、綺麗で澄んだ顔をしていた。
「たった一人でも、誰かを照らす存在になりたい。周りに誰もいなくなっても俺は俺だって、堂々としてたいんだ。」
「そう、なんだ。」
…凜とした声でそう言う琉空に、また私も空を見る。
…そうだね、あの一番星みたいに自分を強く持って、誰かを照らせたら。
きっと世界はもっと色付くんだろう。