冷酷な彼は孤独な獣医
本当は、不安で仕方がなかった癖に、

龍が来ないと知って、悲しくて仕方がなかった癖に、

あたしは……背伸びをしてるんだ。


龍を追い込みたくなかったし、

それに……龍が……小さく見えたから。



少し間があき、龍が口を開く。


「猫がやせ我慢するな」


龍は顔を上げると笑顔であたしを見る。


「やせ我慢なんて…あっ…」


突然、あたしのお腹が鳴る。


すると龍は笑い出す。


「アハハッほら見ろ!

お前夕食まだか?」


「えっ…あぁ……うん」


あたしは赤くなった顔を隠す様に下を向いた。


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