短編集‥*.°



ご注文はお決まりでしょうか…
ご注文はお決まりでしょうか…。



大丈夫…
きっと言える。



サヤさんとの差は、
あと三メートル近く…
机の側に立つと、口を開いた。



「ご注文はお決まりでしょ…」



「…あら、あなた、もしかして…
 ミズキさんですか?」



「…え?あ、はい…?」



言葉を途中で遮られ、
アタシは反射的に返事をしていた。



…この人、アタシの事 知ってるの?



タカシから聞いたのだろうか…
でも、元カノの事を普通 話すかな…。



「ミズキさん?」



「…え、はい?」



机の側に立ったアタシと、
椅子に座るサヤさん。



アタシは、
身動きが取れなかった。



…ほんの少しの、長い沈黙…
緊張感に包まれる。



やがて、サヤさんが言った。



「…私も、
 タカシさんと別れました。
 あの男、最低ですよね…
 今なら、あなたの気持ち解ります

 別れて正解でした」



…え、サヤさん、タカシと…
別れたの?



アタシは呆然として、眉を寄せた…
サヤさんの話の意味がよく飲み込めず。



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