見上げれば

昨日だって我慢できたでしょ

今だって我慢できるはず

下を向いたら涙がでちゃう
上を向いたら泣いてるって先輩にバレちゃう


「来い」

先輩は私を引っ張って校内に連れていった

ポケットから鍵を出して図書室の扉をあけると
中から鍵を閉めた


「せ、んぱ」

先輩は奥の棚に連れていって

「絶対に逃がさないから」

と言って私をギュッと抱き締めた


―なに?

「今が俺とお前の正念場だ」

え?

「とりあえず、泣け」

「で、も」

「いいから、ほら」


先輩のことで泣いてるのに
先輩の胸で泣くなんて


「ふぇっ…」


私の決意なんて、先輩にかかれば簡単に壊れてしまう




泣いてる間
先輩はずっと背中をさすってくれた


悲しいのに嬉しくて
切ないのにドキドキした


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