カメカミ幸福論

・酔っ払いと涙



 昼からこっち、私はそわそわしてしまっていた。

 事務所に戻るとキラキラ瞳の美紀ちゃんの視線攻撃にあったけど、黙殺して自席へ戻り、パソコンの電源をいれる。

 だけどちーっとも集中出来なかったのだ。それは、あの男のせい。

 ・・・小暮。くそ、お前何してくれんだよ・・・・。

 私はぐったりと疲れきった午後3時、自席で顔を机の上においてダラダラとのびきっていた。

 何と、デートの約束だぜ、この私が。

 何年ぶりだ!?です、本当。

 それが頭の中を駆け回り、集中力のいる計算がちっとも出来ないのだ。どうしよう、このままでは提出に間に合わない。

 その時颯爽と、困った時の美紀ちゃんが登場した。

「亀山さん、コーヒーどうぞ」

 私はよっこらせと体を起こして椅子に座りなおす。有難いわ~・・・今の私にはカフェインの強烈なアタックが必要よ。

「ありがと。ちょっとこれ、間に合いそうもないわ。全然集中出来なくて・・・」

 うんざりした声でそう言うと、判ってます、と肩を優しく叩く彼女。

「のびきってましたもんね。昼食から戻ってから挙動不審でしたよ、亀山さん。さあ、何があったのか私に話してください」

 彼女はぐいぐいと顔を突き出してくる。私はさっさとコーヒーに口をつけながら眉を顰めた。


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