素顔のキスは残業後に
そう。なにも問題はない。ただ一つのことを除いては――


私の後ろに立つふたり。

きっと部長の目の奥は笑ってないだろう。


このタヌキ部長め。部下の様子を気にするふりをして、
粗を探そうとするのがみえみえなんだから。


そんなことを思っている間も沈黙が永遠のように長く感じる。


部長のこととは別に鼓動が速まる。
彼がなんて返すのか気になって仕方がない。

時間にしてほんの数秒。ふっと短い吐息が聞こえた。


「足を引っ張るだなんて、とんでもないですよ。

彼女が案を出してくれたキャンペーンイベント。なかなか好評で上層部にもお褒めの言葉を頂きましたし」

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