素顔のキスは残業後に
もしかして、お母さんが言ってるのは――

さっきのネックレスとか、そういうことではないとしたら。


頭を過ったある予感が正しいというように、私を見つめる瞳が静かに揺れた。


何かを強く求めて拒否されることが怖かった。

だから、いつだって深く追い求めることはしない。

そんな自分の弱さが生み出した防御策。


すべてを見透かされていたことに息を呑んだ。



「隠せないもんですね」


情けないくらいに掠れた声が唇から漏れる。
引き攣った頬を見られたくなくて足元に視線を落とした。


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