素顔のキスは残業後に
何度も頭を下げていたユカちゃんの母親が、まだ小さなユカちゃんの手を引いて自分達のテーブルへ戻って行く。


ふたりの後ろ姿を見つめていると、そっと肩を叩かれた。


「友花さん、よかったんですかぁ。幸せ逃げちゃいますよ?」


おどけたような声は振り返らずとも誰だか分かる。

美香ちゃんだ。


彼女は私も誘ってくれた合コンが不発に終わったらしく、

『村瀬先輩に幸せ分けて貰いましょうね! 結婚式っていったらぁー婚活ですよね!!』


なんて、気合い入りまくりの声をあげていた。
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