素顔のキスは残業後に
不機嫌そうに吐き捨てられた言葉。
だけど、不意打ちの優しい響きに目の奥が熱くなる。

あんな顔ってどうして……それじゃぁ、まるで――。

頭を一瞬掠めたある想いを振り払う。
言葉を失くした私に少し困った笑みを浮かべた彼は、近くのテーブルに置かれた資料を手に取って私に差し出した。

「まっ。俺のチームに入ったら、ぼけっとする暇もないから。覚悟しとけ」

「えっ」

「役員面談の結果が出た。桜井には『B-lover』のプロジェクトチームの一員になって貰うから」

――――…



――…




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