素直じゃない


呆然としていると、浅香が周りに向かって、どーもどーも、と手をあげて歓声に応えているのが見えた。


ちょっと待って。


すっかり忘れてたけど!


「ふたりともおめでとう。でも一応授業中だからねー」



のんびりした担任の声が響いて、あたしは自分の顔が一気に熱くなるのを感じた。


「クラス公認だね!おめでとうっ」


にっこり笑った小夜ちゃんに、あたしはもう消えてしまいたいくらい恥ずかしくて。




「い、今のナシ!!冗談だからーーっ!!」


「今更取り消せないっつーの。バカ」


────瞬間。

ちゅっ、という軽い音と共に、頬に触れた唇。



「!?」


今の……っ!


きききき、キス!?


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