【B】姫と王子の秘密な関係

12.閉める店 受け継ぐ人 -晃介-


乙羽ちゃん=遠野音羽さんだと言うことが
確信に変わった、デートの夜、
彼女の自宅まで、タクシーで送り届けて
俺自身のマンションまで帰宅する。


彼女に告げた言葉はある意味、
将来に悩む俺自身に必死に言い聞かせている言葉で……。


帰宅して、一枚だけ先にプリントして貰ったスタジオでの写真を
空いているフォトフレームへとセットして、机の引き出しへと片付けた。


花火が始まった後
彼女が教えてくれた昔話。


遠い昔、俺自身にもそんな時間があったようななかったような。

はっきりとは思い出せない、
その昔の記憶を引きづり出したくて、
ベッドの中に体を投げたして、天井を見つめる。



軽く目を閉じている間に、
いつの間にかウトウトしていたらしく、携帯の着信音が聞こえて
慌てて体を起こした。


モニターに映る着信相手は小川さん。


慌てて、深呼吸の後に電話に出る。



「はい、高崎です。
 お疲れ様です」

「夜分にすまない。
 大至急、桜川一丁目店に向かってくれ」

「桜川一丁目店がどうしました?」

「オーナーが夜勤中に倒れて救急搬送。
 現在は近所の主婦パートの人が、一人シフトに入っている」



オーナーの救急搬送の言葉に、
俺自身も緊張感が走る。



「わかりました。
 30分以内に桜川1丁目店に入ります。
 小川さんは?」

「オーナーが搬送された病院に顔を出した後、
 店舗に合流する」



用件だけを伝えられて、電話が切れると
俺はすぐにビジネス用の着替えを済ませると、
鞄を持って深夜のタクシーを捕まえる。


そのまま告げられた店舗に入ると、
近所の主婦パートスタッフに交代する旨を告げて
帰宅させて、店舗の制服に袖を通して仕事を始めた。


冷蔵庫内の商品整理とチェック。
朝の荷物の検品と陳列。

明け方、4時頃に店舗に姿を見せた小川さんは
俺の顔を見た途端に、首を横に振った。


小川さんの表情が意味するのは、
店舗オーナーの死亡。

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