スタートライン~私と先生と彼~【完結】

まだ19時半。

二人でベッドにもたれて座り、大学の友達に借りたDVDを観てる。

恋愛映画。キスシーンとかあるような少し甘々なやつ。


隆がちらちらとこっちを見て、そわそわしてるのがわかった。


どうしたんだろう・・・面白くないのかな・・・恋愛映画なんて・・・。


そんなことを考えていたら、隆が私の手を握ってきたので、思わず隆の様子を伺った。

その瞬間ん、彼は私に抱きついてきた。

「さっちゃん・・・キスしたいなぁ」


彼は、私の耳元で囁いた。

その声が甘くて、体中が痺れてしまいそうだった。


ファーストキスから1ヶ月、キスは何度もしてる。

だからといって平気なわけじゃない。

いつも緊張して、顔が真っ赤になっているのがわかる。


「いいよ」


私は頷き、キスを受け入れる。

キスする瞬間、私はとろけてしまいそうになる。


再びキスをする・・・深く、深く・・・。


終わることがないようなキス。


「ん・・・・・・」


いつもと違うキスに思わず声が出てしまう。


「その声・・・エロいよ」


唇を離して、彼は私の目を見ながらそう言った。

その彼の目は、とてもセクシーで、よりいっそうドキドキさせてくれる。


「だって・・・隆が・・・」


だって隆が・・・・・・あんなこと・・・いつもと違うんだもん。


「嫌?こんなことするの?」


そんなことを聞く彼の目に引き込まれてしまいそうなくらい魅力的だったが、それと同時に、どこか自信がなさそうな表情にも見えた。


「嫌じゃないよ」


と言うと、彼に自信を持ってもらいたくて抱きついた。

本当は、真っ赤になっている顔を隠したかったのだ。


「お風呂入る?」


えっ??いきなり何を言うの?


「えっ?一緒に?」

「うん」


めっちゃ笑顔・・・というか、少し意地悪そうな笑顔。

隆ってこんな表情もするんや・・・と感心していたので思わず「いいよ」と口を滑らせてしまいそうだったが、我に返ると彼の発言がとんでもないことに気づいた。

「・・・いやいや、入らないし!」


「そっか、残念」

と容量オーバーしている私に対して、余裕の表情の隆は、私に触れるだけのキスをして、テレビを観ていた。


なんで、そんなに余裕なの?彼の横顔をしばらく見ていたが、テレビを観ているようで、なんだかぼんやりとしているように感じられた。

「隆?」


やはり、考え事をしているのか、返事がない。

もう一度「隆?」と呼ぶと気づいたようで声を発した。

「あ、風呂ね・・・・・・」


独り言のように言う彼は、まだぼんやりしているみたい。

「りゅう・・・どうしたの?」


もう一度声を掛けると、彼は勢いよくこちらを向いた。

「・・・はぁ、さっちゃん・・・・・・我慢できない」


えっ?何を我慢できないの?


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