♀ my prince ♂
smile.28

それぞれの想い



【未亜 side】



―あのあと。


翔くんと一緒に寮に戻って…今は部屋の前。



「はぁ~…」




玲央くんに会うの…何だか緊張する…。




そう思いながら…ドアを開けた。



「!」




あ…やっぱりもう…帰ってるんだ…。




玄関に置かれた靴を見て、そんなこと思う。




「ただいま~…」


そう言ってリビングへと入っていく。



「…おかえり。何してたの?」



「えっ…と…」


そこには不機嫌そうに見える玲央くんがソファに座っていて、
私はいつもと違う彼の態度に…返す言葉が見つからないでいた。




え…?な、なに…?怖い…。怖いよ、玲央くん…。




「っていうか見たよ…?三波に抱き締められてる未亜ちゃん」



「え…!?」


玲央くんの発言に私は驚きを隠せない。




見られて…たんだ…。




「ねぇ…!何であんなことになってんの!?あれさー…告られたんでしょ?」



「っ……そう、だけど…でも私だって見たもんっ…!玲央くんが歩実ちゃんといるとこ」


玲央くんは、いつもよりはるかに強い口調でそう言う。
そんな姿に怖気そうになったけれど…彼に言い返した。



「え…?」


まさか自分も見られていたとは思っていなかったみたい。
それを聞いた彼は少し目を見開いて驚いている様子だった。




もう…我慢なんて出来ない…。玲央くん…どうにかしてよ…!!




「玲央くんが…歩実ちゃんの肩に手回して…私、それ見るの…ちょっと嫌だった…」


私の心は…もう言うことを聞いてくれないみたい。
次々と何かが溢れてくる気がして俯いて話し始めた。





< 160 / 203 >

この作品をシェア

pagetop