♀ my prince ♂
「玲央の隣りにいるべき女の子は…私じゃなくって未亜ちゃんなんだって…。だって玲央ってば…ほんとに愛しそうに未亜ちゃんのこと見てるんだもん…。
だから私ね…?2人の邪魔しようなんて、もうこれっぽっちも思ってないよ…?むしろ応援…って、未亜ちゃん…!?何で未亜ちゃんが泣いてるの…っ!?」
伏せていた顔を上げた歩実ちゃんが私を見て慌てたようにそう言った。
「だ…だってね…?
グスッ…私、玲央くんと歩実ちゃんが喋ってるとこ見た時…嫌な気持ちになっちゃってたの…。
でもっ…歩実ちゃんがそう思ってたなんて…私、全然知らなくて…罪悪感、感じちゃったの…」
私は言いながら俯き手で涙を拭う。
「もういいよー、そんなこと。っていうか…私たちが友達なら…そんなこと思わないんだろうね?」
「へ…?友達…?」
その声を聞いて再び歩実ちゃんを見た。
「うん。てか私、玲央も好きだけど…未亜ちゃんのことも好きなんだよ?だから…ちゃんと友達になりたいの。」
「っ…。私も…歩実ちゃん好きだよ…?だから…もっと仲良くなりたい…。友達になろう…?」
「うん。…これからもよろしくね?」
私が出来るだけ笑って言うと彼女も笑ってそう言ってくれた。
「ほらほら。もう涙拭いて?こんなんじゃあ私が未亜ちゃん泣かせたって玲央に思われるー」
「へぇ…っ?玲央くん、そんなこと思うの?」
近くに置いてあったティッシュで私の涙を拭ってくれる歩実ちゃん。
その明るい声と行動に少し驚きながらもそう尋ねてみる。
「思うよ。玲央はそうゆう男だから。あ、そだ…玲央のことなら何でも教えてあげるね?」
ウインクに笑顔という、どこかのアイドルにも負けないような表情を私に向けてくれた。
本当に強いな…歩実ちゃんは…。尊敬しちゃうよ…。
「うん…ありがとう。」